将来の選択肢を知る

【NPOのリアル】新卒からNPOというキャリアを選択し、社会課題と向き合う日々

NPO法人Learning for All代表理事の李炯植氏にインタビューをしてきました。働き方の選択肢が広がる昨今、新卒からNPOというキャリアを選択した背景は何か? 社会課題と向き合う日々に何を感じるのか? そのリアルに迫ってきました。

業界:NPO法人
所属:Learning for All
職種:代表理事 李炯植

現在、取り組んでいるお仕事について教えて下さい

Learning for Allという団体は、社会的に困難を抱えている子どもたち。即ち、家庭の事情で学習機会に恵まれない子どもや、塾に行きたくても行けない子どもたちに、無料の学習支援プログラムを提供しています。約50時間の研修を受けてもらった大学生が中心となって学習支援を提供していて、東京都を中心に年間約1,100人程の小中学生が弊団体のプログラムに参加しています。

私自身は、2012年大学3年生の時にボランティアに参加したのがきっかけで、その後団体職員になって、2015年4月から代表理事という立場で活動しています。実際、代表理事という立場での仕事は、自治体や企業との調整業務、各教室の統括、大学生への研修実施、クオリティ・コントロール等多岐にわたります。

現在の仕事のやりがいについて教えて下さい

もともとやりたいことをやっているので、やりがいは非常に感じています。

もう少し背景をお話すると、私が生まれ育った兵庫県の地域は、生活困窮者の多い地域で、貧困世帯の子どもやそこからくる教育格差には問題意識を持っていました。大学では多くの文献を読んで、「貧困はなぜダメなのか?」「格差がうまれる要因は?」などを掘り下げ、この問題と今後自分がどう向き合うのかを考えていました。

そんな時、先輩から弊団体のボランティアに誘われたことがきっかけで、この活動にのめり込んでいくことになりました。子どもたちにとってより良い価値を提供できると、今も尚、この問題と向き合い続けているのが現状です。

現在の仕事のしんどいことについて教えて下さい

個人的に感じるしんどさは特にありません。敢えて言うなら、資金面が苦労しますね。自治体の予算配分なんかを見ると、困難を抱える子どもたちが見過ごされている理由が見えてきます……

組織マネジメントにおいて、を感じる難しさ等はありますか?

ボランティアの組織なので、「お給料の分、働いてね」という企業で通じるマネジメントができないことですね。だからこそ、現場で働いてもらう大学生にとって、やりがいのある経験になるよう工夫をしています。プログラムに参加してもらう際にも、約50時間の研修を大学生に受けてもらい、「教師」としての指導力だけではなく、課題解決能力やマネジメントスキルなど社会人として必要なスキルも学べる内容になっています。

経済的に困窮する家庭、子どもたちにどのように育っていって欲しいですか?

社会で自律的に生きれるようになって欲しいと思っています。特に、ホワイトカラーになって欲しいとか、大学に進学して欲しいとか思っていません。何でもいいのですが、やりがいを持って生きる。自分なりに前向きに生きる。そのために、社会で自律できるだけの能力を身につけて欲しいと思っております。

NPO法人ならではの働く良さと悩みについて教えて下さい

良さとしては、やりがいを感じやすいことでしょうか。NPOという団体は、ビジョンが明確で社会課題を解決するために存在しているので、日々の業務がわかりやすくリンクしています。大手企業よりもやりがいを感じやすいと思っています。

敢えて悩みを上げるとすれば、社会的地位がまだまだ低いことですね。財源確保は難しく、給与面、福利厚生等まだまだ整っていないのが現状です。ただ、Learning for Allでは先進的に変革していきたいなと考えています。そのためにも、弊団体だけではなくNPO業界の財務構造やビジネス構造を変えていかないと思いますし、優秀な人程、社会の最前線で課題解決できるような世の中に変えていかないといけないなと考えております。

大学生へのアドバイスをお願い致します

NPOで働くことは、ベンチャー企業に就職することと変わらないです。自分で「やりたいこと」「やるべきこと」を定義して、行動することが求められるので…。むしろ、ベンチャー企業といっても、裁量権が委譲されてない企業も一定数あることを考えると、若手から圧倒的に力をつけられると考えています。民間企業、行政、NPO等、様々な領域にいる方々の想いを知ることができますし、視野の広がり方も違いますね。

よくNPOで働く学生で、民間企業に就職して3~5年後戻ってきますという学生がいますが、それなら若いうちからチャレンジできる領域に身を投じた方がよいと…大手組織で下積み経験をするなら、NPOでメンバーをマネジメントしながら働く経験、社会課題と向き合う経験を積むことをお勧め致します。

インタビュー後記

ご自身の原体験から見出されたブレない軸を持って、教育課題に真っ向から向き合う李炯植氏。インタビューをさせていただく中で、言葉の節々から教育課題に向き合う覚悟を感じました。様々な働き方の選択肢が増える中で、新卒からNPOで働くということも、一つの選択肢です。アメリカの人気就職ランキングでは、トップ10にNPO団体も入ってますからね。

社会人のスタートダッシュをきるために重要なファーストキャリア。皆さんはどのようなキャリアを選択しますか?

キャリアスケッチ・高橋

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