本日は、大手総合商社でのビジネス経験を経て、新たな会社を立ち上げた室岡拓也さんへのインタビューです。
商社は就活生にも人気の業界で、就活生に志望業界を聞くと「とりあえず商社を考えている」と答える人もみかけます。
ただ人気の業界ではあるにも関わらず、商社では日々どのような仕事に取り組み、どのようなやりがいを感じることができるのかをリアルにイメージできている就活生は少ないのではないでしょうか?
そこで、本インタビュー記事を通じて商社で働くことの具体的なイメージを持っていただければと思います!
また大手企業から独立し、ベンチャーを立ち上げた室岡さんだからこそ語れる、「大手総合商社の仕事」「大手企業とベンチャー企業の違い」なども感じていただけたら幸いです。
室岡拓也氏プロフィール
学生時代からビジネスや多くの人が集まるコミュニティーを立ち上げ、大手総合商社に入社。
海外の案件を中心に多くのプロジェクトを担当した後、2013年「想いを形にする人を増やしたい」という想いから、新規事業立ち上げを総合的にサポートする株式会社ボーンレックスを設立。
現在は、大手企業やスタートアップ企業の新規事業立ち上げに携わる。
そもそも、どういった理由で商社に就職されたんですか?
小さい頃から人を“幸せにできる人”になりたい!という思いを持っていたんですよね。
“ネズミの嫁入り”って絵本知ってます??ネズミのチュウコさんが結婚適齢期になって「自分を守ってくれる世界で一番強い人」を結婚相手として探すという話なんですけど、その話を保育園の時に聞いて、子どもながらに、「自分は雨が降っても風が吹いてもみんなを守れる“壁”になりたい!」って思ったんです。笑
その後も戦隊もののヒーローとか暴れん坊将軍に憧れて、就活の際も“壁みたいに人を守れる仕事”や“人を幸せにできる仕事”というのを軸に考えていたんです。
だから最初は弁護士を目指していたですが、試験に落ちてしまったので就活をすることになったのが商社へ入社する最初のきっかけですね。
就活当初は、経済学部に行っていたこともあって、”お金が動く=幸せが動く”という考えがあったので、大きなお金を動かせる会社に入ろうと考えていました。結果的に、志望していた外資系の大手投資会社に内定をもらいました。
そこから、大手総合商社に路線変更したのは、当時の彼女に「商社マンの奥さんになりたい!」と言われたからです。笑
「目の前の人を幸せにできないでみんなを幸せにできない!」と思って商社を受けて、実際に入社することになりました。
ツコッミたいことが色々ありますが…1年目の総合商社の仕事ってどんなことをするんですか?
最初はひたすら契約書作成と議事録作成ですね。しかも全部英語なので結構時間かかるんですよね。
契約書は1ヵ月5~6本は書くから年間で5・60本は書いてたかな。怒涛だったけど、当時の経験は今に活きてますね。
実際に仕事の面白さを感じたのはいつ頃ですか?
仕事の面白さを感じたのは2年目くらい…事業のモデルを自分でつくっていけるようになった頃からですね。
対国連、対国家、対財閥を含めて交渉をしていくのが本当に楽しかったです。
最初に携わったのが、養豚場CDM(Clean Development Mechanism)事業。先輩から引き継いだ案件だったが、まだ収益事業として立ち上がってなかったので、当時必死に頑張りました。
具体的に何をやったのかというと、アジア圏のある無人島で、”豚の島”といっても過言ではない程豚のいる島で、数週間豚と一緒に暮らしてました。笑
豚と暮らして、そこからどう事業に繋がるんですか?笑
そこには、畑と養豚場とクロコダイルの池があってあるエコシスムが確立されている島なんですね。
畑で育てた飼料を豚にあげて、その中で死んでしまった豚をクロコダイルにあげる。育ったクロコダイルは皮を剥いで出荷する。さらに豚のウンチをラグーンに溜めて肥料になったら畑に返すという循環が出来ているんです。
しかし、その島のラグーンからメタンガスが出ていて、公害になっていたんですよ。その”公害(ガス)を資源にする”ためのプロジェクトをしていました。
ラグーンから発生するメタンガスにはCO2の数倍の温室効果があった。その当時、京都議定書で環境権・排出権・温室効果を削減したらクレジットをもらえるという仕組みがあったので、メタンガスを利用して温室効果を削減してクレジットに替え、電力会社に売るというスキームを確立していました。
商社の仕事って世界観がめちゃくちゃ広いですね…
実際、数億円程度の小さなビジネスで、社内からは「何のためにやるの?」と何度となく突っ込まれるビジネスだったんですけどね。笑
現地に足を運んで、国連とやり取りをして、自分たちのメソッドを証明していくのがめっちゃ楽しかったですね。それが初めての主担当として携わった案件でした。
商社は、良くも悪くも事業分野がない。何をやってもいいよという世界。ただ、やる意味(経済的な意味と世の中的な意味)は教えてねというスタンス。
そのあたりは今の仕事とも通じるところがありますね。
このプロジェクト以降は、発電所を作るためにラオスに何か月も行ったり、多くの海外案件に関わりました。
なるほど…室岡さんにとって商社に就職する魅力って何だったんですか??
幸せの活動の中に、自分の潜在能力を発揮できたところが面白かったんです。要は、お金を動かすことができた。
あとは日本に留まらない仕事だったのが面白かったですね。留学しているような感覚で、価値観が広がった。色んな国にも行きましたしね。
UK、アンマン、ヨルダン、タイ、シンガポール、ベトナム、ラオス、香港、上海、韓国、チリ、インドネシア、マレーシアを担当していました。
魅力的ですね!商社に憧れる学生も多いと思いますが、どんな人が商社に向いていますか?
楽しみを自分で見つけられる人かな。与えられないと何が楽しいのか分からない人は向いていないと思います。
なるほど…最後に、楽しんでいる商社を辞めようと思った理由を教えて下さい
会社は大好きでした。会社の一員であることに誇りも持っていたし、給料も悪くなかったです。
ただ、「もっと面白いもの見つけちゃった!」という感じです。
商社時代、発電所を建てて、結果40万人のお客様に配電されて、40万人の生活が豊かになったと言われても規模が大きすぎて実感がなかったんですよね。
手ざわり感というか、実感がほしかった。Face to Faceの方が自分には適切だなと気づいた感じです。
どのタイミングで気づいたんですか?
学生時代に始めた「ステトモ(素敵な友達)の会」という夢を語る会を、商社に入ってからも定期的に続けていました。
参加者のとして集まった人たちが夢に向き合う、人生に向き合う場をつくることが面白かった。
学生が社会人に向けて熱く夢を語る中で、その社会人が触発されて胸を熱くする。そんな瞬間が好きでした。
忙しい日々の中で、自分のお金や時間を費やして「何でこんなこと続けてるのかな?」とふと考えたら、人が人生に向き合う場を作ることが好きだということに気が付いたんですよ。
その好きなことを、自分の人生にしたら面白いと思って、ボーンレックスという新規事業立ち上げを総合的にサポートする会社を作りました。
インタビュー後記
いかがだったでしょうか?
偏に「商社」と言っても、その事業内容はかなり幅が広く、就活の際はその中から自分に合った企業を探すことが重要なのだと感じました。
また、なんとなく「カッコイイ職場」というイメージを持っていた学生も多くいると思いますが、最初の1年目は書類の作成や議事録といった、キラキラしたイメージとは異なる仕事を任されることもあるようです。
ですので、実際に商社に就職した際には、自分が本当にやりたい仕事をするために、まずはやるべきことをきちんとこなす能力やマインドセットもとても大切になりますね。
カッコイイ職場というイメージがある反面、地味な仕事もある。逆に、自分で自分の裁量をどんどん大きくできれば、世の中を動かすような大きな仕事をすることができるのが商社です。
商社に限った話ではありませんが、学生時代に多くの仕事に触れ、業界のウラオモテを知り、将来の選択肢を広げることで自分の可能性を切り開いていってただければと思います!
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