将来の選択肢を知る

総合商社への就職から起業を通じて感じる、大手企業とベンチャー企業の違いとは

株式会社マイナビが行っている2018年卒大学生意識調査によると、大学生の大手企業志向は52.8%と、8年ぶりに半数を超える結果となりました。そして、その大手志向の上昇に比例し、「安定」や「給与」への関心が高まっています。

「安定した大手企業に就職したい」「親の期待やプレッシャーから大手企業に就職しなければ」といった大学生も多いのではないでしょうか?

一方で、裁量権を与えて貰えないから大手企業では成長できない!といったベンチャー志向の大学生も一定数いますよね…

本日は、大手とベンチャーの違いを知りたい「、就職をむかえる大学生」と「大手企業に就職にて5年間働いた後、起業した経営者」が、大手とベンチャーへの理解を深めることを目的に対談をしました。

大手企業とベンチャー企業の違いを理解し、これからの就活について考えたい大学生必見です!

参加者プロフィール

 

室岡拓也氏:新卒で大手総合商社に入社、事業投資案件を中心に複数の海外案件を担当。退職後、2013年に「想いを形にする人を増やしたい」という想いから、新規事業立ち上げを総合的にサポートする株式会社ボーンレックスを設立。現在は、大手企業の新規事業やスタートアップ企業の立ち上げに携わる。

原さん:就職活動に対して漠然とした不安を持つ大学2年生。両親からは大手に行くよう言われている。現在は留学に向けて英語を勉強中。

西潟さん:長野県の高等専門学校を休学し、現在はベンチャー企業の長期インターンシップ中。

中村さん:ベンチャー企業に内定している大学4年生。学生生活では学生団体の活動とアルバイトに注力。

目次

1、大手企業とベンチャー企業の違いとは?

大手企業の安定は本当か?

原さん:私は大学2年生なので就職活動のことはまだよく分からないですが、「安定性を求めるなら大手」「やりたいことをやるならベンチャー」というイメージがあります。
親からも「大手に行きなさい」とずっと言われていて、ベンチャーには正直なところマイナスのイメージを持っています。自分のやりたいことができてアクションまでが早いけど、収入が不安定で将来的な持続性もないと捉えています。

大手企業やベンチャー企業の実態はどうなのでしょうか?

室岡さん:まず大手企業とベンチャー企業では、時間とお金に関する価値観が違うと思います。すべての企業ではないけれど、ある程度の時間働いていれば一定のお給料がもらえて、福利厚生も整っているのが大手企業。

反対にベンチャー起業は、その企業が提供したい価値に対しての貢献量というか、ベース給に成果報酬が乗せられるパターンが多いように思います。

ちなみに「安定性を求めるなら大手」と言っていたけど、原さんにとって「安定」ってどんなことを指している?

原さん:長い間会社が存続し続け、毎月安定したお給料がもらえることが保証されている意味ですかね…

室岡さん:そうだよね、そのイメージはあるよね。大手企業は先程もお伝えしたように、その一面だけをを見ると、家族を路頭に迷わせることもなく安定した環境だと思うわけです。

ところが、大手企業で働く前職時代の仲間の中には、多くの給料を貰っているのにも関わらず「このままでいいのかな?」って思っている人たちが沢山いました。当面の将来も保証されているのだから大手が良い環境であることに違いない。だけど、心がYESと言っていないのです。

伝統もある大手企業は仕組化が隅々までなされていて、その仕組みの中の一員として働いてると「私じゃなくてもいい仕事」ということに充足感を感じなくなる人も多いんですよ。

こういった実態を考えると「安定」という一言では片づけられない、人生との仕事の関係がありそうですよね。

大手企業よりもベンチャー企業の方が成長できる?

西潟さん:僕は学校のカリキュラムで大手メーカーのインターンシップに参加し実際に働かせて頂いたのですが、組織の全体像が全然見えず、末端で働いている感覚がありました。

自分で考えて主体的に物事を動かしていくことが難しい環境に違和感を覚えたため、今は学校を休学して経営者と距離が近いベンチャー企業でインターンをして経験を積んでいます。

新しいことに挑戦するスピード感があって更に裁量権もあるので、自らの“成長”という面ではベンチャーなのかなと考えています。

室岡さん:なるほどね。私の経験から言うと、大手企業とベンチャー企業では成長できることが全然違うと思っています。

大手企業は先人が、場合によっては百年以上かけて作ってきた伝統と歴史の中で、利益を生む仕組み化が完璧に整備されている、という特徴があります。

世の中のインフラになり得る仕組みが、ほぼすべて整っているので、そういう観点では、有名な大手企業を超える勉強の場は他には無いのでは?と思っています。

スキルやノウハウを学ぶなら大手企業だと思いますね。

中村さん:ベンチャーはどうですか?

室岡さん:ベンチャーでこそ学べることももちろんあります。それは、「主体的に動いて、トライアンドエラーを繰り返し、形を創る力」だと思います。

企業における仕組み化は、「誰」がやるかによって左右される仕組みであってはいけません。なので大手企業は「あなただからできること」に終始してはならない。

しかし、ベンチャー企業では「あなただからこそできることは何か?」が問われることになります。

たくさん失敗してトライアンドエラーのスピードを上げていく中で、自分だからこそ出来ることを模索していく。行動して、失敗して、そのリカバリーがどれだけスピーディーにできるかが勝負になってきます。

それは、仕組み化が完璧でないベンチャー企業だからこそ出来ることです。

2、「大手向き」「ベンチャー向き」ってあるの?

大手企業は歯車の一つって本当?

西潟さん:僕がベンチャー志向だということの理由のひとつは、インターンシップの経験から大手だと組織の全体像が見えず、自分の存在を歯車であると感じてしまうと考えているからです。実際はどうなのでしょうか?

室岡さん:その感覚は確かにあると思います。例えると、大手は水車、ベンチャーはバケツです。

水車は、何人かでバケツを使って水を動かすよりも、大きなエネルギーを世の中に送り出すことができます。大手で働くのであればその水車の歯車となって、世の中へ大きなエネルギーを供給し続ける仕組みの一部になることが求められます。

一方で、そんな水車を使って鉢植えに水をあげたいとしたらどうでしょうか?バケツでやったほうがいいことに気が付くと思います。ベンチャーは、まさにそのバケツです。

一つ一つは小さい影響しか世の中に残していないのだけども、水車では与えられない鉢植えに水を確実に与えているのです。

そして、その鉢植えのプラントが、いずれ広大な林になったら、きっとバケツでは運びきれず、水車やその他のインフラを整備する必要が出てくる。

そして、大手企業へと発展していくわけですね。要は、それぞれに役割があるのです。

大手向き、ベンチャー向きの人材とは?

室岡さん:今言ったように、大手で働くと組織の一部として「自分である必要を感じない」という感覚を持つことはもちろんあります。

そんな自分に「このままでいいのだろうか?」と不安や疑問を持つようであれば、大手企業は合わないと思います。

反対に、「バケツで水を動かしているだけで、世の中にとって大きな価値を見出せないことに意味はあるの?」と思う人は、ベンチャーには合わないわけです。

もっとも、創業者はこの限りではなく、バケツを大きな水車にしようと頑張っているケースも多いのですが…

西潟さん:そうなんですね…

室岡さん:ただ、両親の世代って、バブルを経験した人達が多いから右肩上がりの社会で働いてきた人が多いけど、今学生であるみんなの世代はそうはいかない。

大手企業、ベンチャー企業どちらに就職したとしても終身雇用で生活が保障されることなんてまずありえない。

だからこそ、なんとなく就職ではなく、自分の価値観を明確にする中で何を大切にして働くのか、学生のうちに考えてみてほしいなと思います。

ファーストキャリアは大手が良い?ベンチャーが良い?

西潟さん:僕はどちらかというと今の話のバケツの水をすくっているほうが好きだなという感覚があるんですが、周りの友人から「大手からベンチャーは転職できるけど、逆を考えると難しいのでは?」と言われることがあります。

中村さん:僕もそんなイメージがあります。新卒でベンチャーへ行くことが決まっているけど、実際にその指摘を受けたことは何度かある。

「大小関わらず一つの企業で勤続する」「大手から起業」「ベンチャーから大手へ転職」など様々なキャリアステップがある中で、室岡さんは新卒で大手商社というキャリアを選択されましたが、結果的にそれは良かったですか?

室岡さん:私は良かったと思っています。というのも、前職で働いた経験が、今の自分の仕事の興し方、取り組み方の90%を形作っていると感じているからです。

それは、ビジネスの基礎だと思うのですが、どうやってマーケットに自分たちの存在感を発揮していくのか、国内にとどまることなく、常に当然として考えるグローバルな視点・スタンダード等、勉強させてもらったことはとても多いですよ。

今も同じ職場で働いていた仲間を集める会を開催するくらい、前職の会社自体は好きですし、とても感謝しています。

どんなキャリアを歩むか、こればっかりは正解はない。自分はどんな価値観を持っているのかで、良し悪しが決まるのではないかなと思います。

3、就活前のハタチの今、やるべきことは?

ハタチの今、すべきこと

原さん:今は留学の為に英語を勉強しているのですが、自分にしかできないことってあんまりないから、それを見つけられるといいなと思っています。

西潟さん:”自分にしかできないこと”って、他の人と差別化することなんですかね?

得意のひとつではあるかもしれないけれど、一つだけでは通用しないと考えています。自分より優れた特技を持った人って必ずいますからね。

だから僕は、3つくらい人より秀でていることを見つけて、学生時代に磨いて、それらを掛け算して勝負したいなと思っています。

中村さん:就活を終えた今思うのは、自分にしかできないことを、学生時代の経験を通じて磨くしかないなということです。社会人になったらみんな頑張るじゃないですか?

自由度が高い今、やってみたいことに挑戦することかなと思います。

では最後に室岡さん、アドバイスをお願い致します

室岡さん:キャリアにしろ、そのための軸にしろ、親でも周りの意見でもなく、自分で決めることがとても重要だということはお伝えしたいです。

自分の決断に責任をもって、その決断が決して間違えだったと将来の自分が思わないように、今を最大限に生きることが大切です。

大手商社で経験を積ませて頂くだけじゃなくて、給料にも、福利厚生にも恵まれているにもかかわらず、退職するって、一般的にいったら考えられないですよね。

私の場合は、両親だけでなく、祖父母にも絶交するとまで言われました(笑)。

でも、僕はなんのために生きているのかを体現できていないほうが勿体ないと思ってしまいます。

何を楽しいと感じて、何に意義を感じるのかが、人それぞれ違うわけです。その「人との違い」に意味を持たせるのは、自分の人生の歩み方ひとつだな、と。

自分にとってより良い人生にする為に何ができるのか、ということを、枠にとらわれず考えて欲しいなと思います。

対談後記

就活生とお話をさせていただく中で「大手企業とベンチャー企業どっちがいいですか?」と質問されることが時々あります。

しかし、その質問については、学生本人の中に明確な判断軸がないと選べないんですよね。

「どんな価値を発揮したいのか?」「組織でどんな役割を担いたいのか?」「どんな力を伸ばしたいのか?」

是非、大手企業とベンチャー起業を天秤において比べる前に、自分なりの判断軸を考えていただければと思います。

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