「大手メーカー=安定」は本当か?
理系大学を経て、新卒で大手化学品メーカーに就職した3年目若手社会人(女性)にインタビューをしてきました。
就職活動の中で「自分は大手向き?orベンチャー向き?」等悩まれる方も多いかと思いますが、大手企業で働く上で知っておくべき観点をたくさん教えていただきました。
「安定=大手企業」だと思ったら、落とし穴にはまるということですね…
新卒で入社後、働く中でどんなことを感じているのか?安定のイメージがある大手企業に入社する際に覚悟するべきこととは何か?
人気企業の会社説明会では聞けないリアルを感じ取っていただければと思います。
業界:化学品メーカー
職種:マーケティング
規模:5,000人以上
年次:3年目
大手メーカーの3年間の日々に迫る…
就活では、もともと大手メーカーを狙っていたのですか?
学生時代は、理系の大学院に通っていてたので研究三昧の忙しい日々を送っていました。
就活にあたっては、理系のゼミの研究を通じて知っていた企業を何社か受け、直感で入社を決断しました。
もともと大手メーカーを狙っていた訳でもなければ、メーカー業界の中で、化学品メーカーに拘っていたわけではありません。
ただ、ゼミの活動を通じて社員さんの雰囲気を何となく知っていたことは少なからず影響しているかと思います。
新卒で就職後~現在までで担当した業務は?
入社後半年間は、システムの部署に配属されました。
実際の業務としては、プログラムを書いたり、システムを構築したり…大学院を卒業して、化学品メーカーに就職したのに何か意外ですよね?
最初は正直戸惑いもありました…
しかし、その後偶然にも異動があり現在は、購買行動を分析する業務に携わっています。
「ブログ・ツイッターに記載されている単語を収集し、何が流行っているか?」等々、様々なアプローチから売上向上や新商品開発の材料となるデータを分析しています。
仕事は楽しいですか?
はい。私は、どんな仕事も楽しむようにしていますね。
今の仕事でいくと分析がメインなので、自分の分析結果が、次の行動に繋がったときは楽しいというか嬉しいですね。
反対にAという結果がでると思って分析に取りかかっても、仮説通りに「解」がみえてこなかったときはしんどいですね。
仕事においてきついときは?
人間関係ですね。
例えば会議においては、いろんな人が異なる立場で同席するので、議論が空中分解する場面に多々遭遇します。同じ言葉でもそれぞれの捉え方が違うのですり合わないんですよね。
あとは、立場的に自分の意見をそもそも聞いてもらえないこともありますね。
今では自分の意見を事前に上司に伝えて、上司に発言してもらうとか根回しを覚えましたけど…
今後、やりたい仕事は?
これまで働く中で自分の「やりたい」ことが見えてくるようになりました。
私自身は「人」についての興味関心が強いので、不特定多数の人にアプローチできる仕組みを見つけていきたいなと考えています。
そして何かしら切り口を決めて、アプローチしていきたいですね。今の仕事と重ねつつ…
入社する際に覚悟するべき3つのコトとは?
ここまで、大手メーカーの実態を聞いてどんな印象を持ちましたか?
個人的には、彼女の話を聞きながら、率直にいろんな制約条件がある中で「楽しく働く」って素敵だなと感じました。
自分のコントロールできないこと(職場環境・上司/同僚の価値観等)を手放していますよね。
最後に学生へのアドバイスとして、人気業界の大手企業に入社する際に覚悟するべき3つのコトを聞いてみました。
その1:自分に合わない仕事もやらなければいけない…
大手メーカーならではですが、商品を開発してお客様に届けるまでに、部署・役割が細分化されています。
自分の希望職種に携われる可能性は限りなく低く、どんな部署に配属されても、だいたい3年間はその部署に勤めなければなりません。
だからこそ、「新たな商品を創りたい」みたいなレベルではなく、もっと細かいレベルで自分に合う働き方を見極めてほしいですね…
その2:自分の価値が見えにくい…
部署・役割が細分化されているだけに、自分のやっていることが「次、何に繋がっているか?」ということを、自ら捉えにいかないと価値を感じにくいと思います。
何のためにやっているのか考えずに働いている人も中にはいますし…自分から目的を掴みにいくことは大切ですね。
その3:先輩は「頭」、自分は「手足」
人によって様々ですが、同じ入社3年目同期の話を聞いていると、考える仕事は基本先輩が行い、自分は作業ばっかり…先輩を超えたくても多々ハードルがあって…と悩む人も少なくないですね。
最初下積み期間として、そんな状況にも耐えられるのか?自分に問う必要がありますね。
「大手=安定」「大手=成長できる」と思って入社すると痛い目にあうかもしれませんよ…
インタビュー後記
大手企業は非常にポジティブなイメージを抱いている就活生の方が多いと思います。
就活が解禁されると、ナビサイトで大手企業を片っ端からエントリーしてESを提出する学生も未だ少なくありません。
しかし、大手企業の組織構造上、「やりたい」を実現するための我慢するべき期間が長そうだな…改めてそんなことを感じました。
彼女の教訓からも、就職活動において単なるブランドで企業選びをすることなく、リアルな実態を把握した上で、意思決定することって大事ですよね。
期待して入社したのにもかかわらず…という入社ギャップの中で後悔をしてもどうにもできないですからね…
そういった意味でも、就職活動においてもっと「企業側」も「学生側」も情報をオープンに開示する採用の動きが進むと良いのですが…