本日は、親子の笑顔をさまたげる社会課題を解決する団体NPO法人フローレンスで働く石川氏にインタビューをしてきました。
新卒からNPOで働き、転職しても尚NPOで働き続ける石川氏のキャリアの背景やNPOでの働く実態についてまとめております。
働く一つの選択肢として、大学生の皆さんには是非知っていただきたい内容となっております。では、どうぞ。
【プロフィール概要】石川廉(いしかわれん) 1987年生まれ。沖縄出身。
大学から東京に上京。
新卒で障害児支援のNPOに入社し、2014年に認定NPO法人フローレンスに転職。
元々大学時代は経営学を学んでおり、金融業界に就職しようとインターンをしていたが、ふとしたきっかけでたまたま障害児保育の世界に飛び込み、現在に至る。
最近驚いたことは、双子の弟と全く同じ時計を購入してたこと。
現在働いている、NPO法人フローレンスについて教えて下さい
NPO法人フローレンスは、「病児保育問題」「待機児童問題」「障害児保育問題」等の親子の笑顔をさまたげる社会課題を解決する団体です。
僕自身は、障害児保育問題を解決するする仕事に取り組んでいます。
現在日本では、障害児の母親の常勤雇用率は5%と低く、障害のある子どもを出産すると、預け先がなく、仕事をすることができないという実態があります。
「子どもを支えるために収入を得ることが必要」しかし、「預け先がない」というジレンマに悩むお母さん、夫婦は少なくありません。
そんな実態が…石川さんは、その中でどんなお仕事をされているんですか?
障害者保育園ヘレンの立ち上げ、運営など、現場を支えるバックオフィスとして仕事をしています。
WEBサイトをつくって、情報を提供をしたり、入園の問い合わせ対応をしたり、業務は多岐にわたります。
もちろん園にも行くことも多く、季節のイベントでは保育に入ったりします。
例えば、クリスマスではサンタクロースにもなりますし、節分であれば、赤鬼にもなります(笑)
また、障害児保育問題は、預け先がない、だったら園をたくさん開園させれば解決!という簡単な問題ではありません。
障害児保育園ヘレンは国の制度を利用して運営していますが、その預かるお子さんは、大きくわけて2つの障害区分に分けられています。
しかし、それは50年前に決めた基準。もう完全に時代遅れなのが実態です。
日本は周産期医療や新生児医療の分野で世界でもトップクラスで、その医療の発達によって救われる赤ちゃんが増えてきたんですが、その結果、先ほど説明した2つの分類から外れたお子さんが出てきたんです。
そのお子さんはどうなるか?基準から外れた子どもは国からの補助がもらえないため、ある種、この日本でどこも預かってくれる場所がないんです。
だから、国に対してロビイング(政策提言)という活動をしています。
「現状とギャップが生まれてきたよね。だから今に合わせて法律や制度をアップデートしようよ」という働きかけです。
これはフローレンス代表理事の駒崎が先頭となって行っています。
駒崎と一緒に、議員や行政にアポを取って話をしに行ったり、ヘレンの現場に来てもらい、障害児保育問題のリアルを見ていただくこともしています。こういう見えない活動が、後で大きな社会を変えるきっかけになるんです。
障害者保育問題の解決はこれからなんですね…
そうなんですよ…今は医療が発展して、これまで亡くなってしまっていた子どもが助かるケースが増えています。
一方で、重度の障害がある子どもを支援する体制が整っていないんです。
だからこそ、ヘレンのような受け皿が必要になりますし、国の制度等ももっと変わらなければいけないんですよね…
困っている方は全国にたくさんいます。制度が変われば、ゴリっと音を立ててみるみる社会は変わっていくんです。
なるほど…ちなみにこの仕事をはじめたきっかけは何ですか?
学生時代、はじめは金融系の仕事がしたくて、某企業のインターンシップにも参加していたのですが…
自分のやっていることが何に繋がっているのか見えないこともあって、漠然と大手企業で働くのは向いてないと考えていんたんですよ。
そんな時に、フローレンス代表駒崎の「社会を変える仕事をする」という本に出会って、単純に「社会を変える仕事をする」NPOってかっこいいな、この人と一緒に働いてみたい!と直感的に思いました。結構単純な性格です。
しかし当時のフローレンスは僕が興味のある分野の募集をしていなかった。
なので、卒業後は、障害のある子どもを支援する他のNPOに入ったのですが、数年後にフローレンスが「障害児保育園します!仲間集まれ!」というようなFacebookの記事を見つけ、今しかないと思って転職を決意しました。
学生時代の想いを実現されて素晴らしいですね…実際、今の仕事のやりがいについて教えて下さい
やりがいを分解すると、「働きがい」と「働きやすさ」の2つに分けられるかなと。
働きがいとしては、興味や問題意識を持っている、障害児保育問題を仕事ととして取り組めることですね。
社会的価値を感じながら働けるので、やりがいは本当に感じますね。
働きやすさでいくと、男性でも育休がとれたりしますし、リモートワークも推奨されていますし、働き方が非常に柔軟なところですね。
あと大企業では絶対に考えられませんが、トップの駒崎と膝を突き合せて仕事することもありますし、フローレンスには多方面から本当に優秀な人が入社してきますので、色んなプロジェクトで一緒になって働くことの面白さもあります。
あまり部署とかもないかもしれません。やりたい!ということがあれば、チャレンジできる風土があります。
反対に「しんどいこと」ってありますか
個人的にはあんまりないですが…強いて言うならば、変化が激しい組織なので、柔軟に考え、チームで一緒になって全力で走れるかといったところですかね。
代表の駒崎は、ビジョン実現のために、方向転換は常に行います。意思決定はめちゃくちゃ早いですよ。
「考えてから走る」のではなく、「走りながら考える」ので、それに合わせて、僕らも柔軟に方向性を変えて走れるかが面白いところでもあり、ある種大変なところかもしれません。
ちなみに、NPOならではの働く良さや悩みってありますか?
NPOならではの良さとしては2つあって。1つがビジョンが明確なところですかね。
目指すべき世界観がクリアになっていますし、そこと日々の仕事が繋がっている感覚が得られるので。
あとは、社会的価値が高いことをできているという実感ですかね。
実際、組織内の人だけではなく、行政や議員の方も巻き込んで活動しますから、影響力という観点で大きいと思います。
悩みとしては、まだまだ社会的地位は低いところですね。新卒でNPOに入ると決めたときもまわりからは反対されました。
「無休で何やるの?」「NPOってボランティアでしょ」みたいな声はまだまだありますしね。
ただ、社会的認知(ドラマにもなったり!)も広がっている実感はありますし、今後はもう少しNPOのブランドも上がってくるとも思いますし、さらに言えばフローレンス、そして自分自身が意識し、業界のトップランナーでありたいなと思っています。
若者よ、面白いぜ、NPOは!と言いたいですね。
ありがとうございます。それでは、最後に大学生へのアドバイスをお願い致します
そうですね。結局行動することですかね。学生時代、mixiで今想っていることとかブログのように書いてたんですが、それがマジで痛い。笑
書くことも大事なんですが、やっぱり書くだけでは何も始まらなくて、行動すると変わっていくんですよね。
行動した結果、出会いも広がり、いろんな職業を知ることにもなりますからね。
インターンでもボランティアでも何でもチャレンジするといいと思いますよ。
インタビュー後記
NPO法人に新卒で入社した石川さん。
インタビューをお伺いする中で、大手企業に入社すれば安泰という時代は崩壊し、多様な働き方が認められる時代になったことを改めて感じました。なんとなく大学に入って、3年生になったらナビに登録して、就活する方が時代遅れなのかもしれません。
やりたいことを実現できる場所を、自から見つけて掴みとる。
自分のやりたいことを、主体者として実現していく。そんな人がこれから増えてくるのかもしれません…